神戸の老舗洋菓子店
2016/02/28
古くから貿易で栄えた神戸は、外国人の集まる街でもあり、そのおかげで洋菓子のレベルはすごく高いんです。百貨店には神戸の洋菓子を置かないと、話にならないと言われる程。
今日は、そんな中から老舗とい言われるお店を少し紹介したいと思います。
亀井堂(http://www.kameido.co.jp)
明治6年創業の老舗。ここの瓦せんべいが神戸洋菓子のルーツと言えます。
瓦せんべいと言えば和菓子の様ですが、当時まだ高価だった砂糖や卵を使っていて、『ハイカラせんべい』とか『贅沢せんべい』とか呼ばれ、その味わいはそれまでの和菓子とは一線を画すものだったようです。同じ材料をオーブンで焼くとカステラになるそうで、当時の人達にとっては、甘い香りのお煎餅は画期的なものだったんでしょうね。
今一風変わって面白いのが、瓦せんべいのオリジナル焼印サービス。結婚式の引き出物や何かのイベントに喜ばれるかも。
神戸風月堂(http://www.kobe-fugetsudo.co.jp)
明治30年創業。昭和2年に発売されたゴーフルという、薄いお2枚のお煎餅でクリームを挟んだお菓子が代表作。フランスのお菓子を日本風にアレンジしたとの事ですが、調べてみるとフランスのゴーフル(gaufre)というのはワッフルを指すようで、こちらのお菓子の起源は、ゴーフレット(gaufrette)=ウエハースのようです。
ユーハイム(http://www.juchheim.co.jp/juchheim/)
創業者のドイツ人カール・ユーハイムの波乱万丈人生が興味深いんです。
中国青島(チンタオ)に住んでいた際に、第1次世界大戦で攻め込んできた日本軍の捕虜になりました。終戦後、中国にもドイツに帰らず、奥さんと子供を日本に呼んで横浜でE.ユーハイムという喫茶店を開業していたのですが、今度はお店を関東大震災で焼失。殆ど文無しで神戸に逃げてきて、喫茶Juchheim's(ユーハイムズ)を開店し、大成功したというもの。
ユーハイムが日本で焼いたバームクーヘンは、本場ドイツのものよりも日本人向けにバターを控え目にしているようで、今もユーハイムを支える代表的な銘菓です。
モロゾフ(http://www.morozoff.co.jp/)
ユーハイムと並ぶ神戸の2大洋菓子メーカーがモロゾフ。創業者ヴァレンティン・F・モロゾフは、名前の響きからも分かるようにロシア人。ロシア革命でソ連が共産主義化するのに嫌気し、日本に亡命してきたそうです。
この方も不運な方で、1922年(昭和11年)に日本人の共同経営者とモロゾフを創業したのですが、その共同経営者ともめて、店を追われています。当時ロシアは敵国と想定され、裁判でも弁護士が降りるなど、今から考えるととても平等な扱いは受けていなかったようです。
ちなみにバレンタインデーにチョコレートを送るという日本独自の習慣は、このお店で初めてバレンタインチョコレートの広告を出したのがきっかけだそうです。
ゴンチャロフ(http://www.goncharoff.co.jp/)
創業者マカロフ・ゴンチャロフもまた、ロシア革命を逃れてきた日本へ亡命してきたうちの一人。1923年(大正12年)に北野で創業、モロゾフとも資金面などで協力し合いながらやっていたようですね。
ゴンチャロフとい言えば、何と言ってもチョコレートが有名ですが、ウィスキーボンボンの発祥もここだと言われています。